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大腸がんの内視鏡的治療
東京女子医科大学東医療センター 検査科光学診療部/内視鏡内科教授 加藤博之
大腸がんの中でも粘膜内にがん細胞が限局する早期がんは,内視鏡的治療でがんが完全に治ります.大腸がんは早期発見,早期治療が大事ながんの一つです.
はじめに
大腸がんと言われても,おなかに傷をつけないで,痛みもなしに,がんを完全に切り取る方法があります.それが内視鏡的治療で,早期がんで早い段階にみつかれば,この治療法で大腸がんは完治します.便潜血反応による大腸がん検診の普及に伴って,今日では早期がんの段階で発見され,内視鏡的治療で完治される方が増えてきました.また,大腸腺腫といって,良性ですが大きくなるとがん化するポリープもあります.これは大腸がんの前がん病変と考えられ,やはり内視鏡的治療の対象となります.ここでは,早期大腸がんと大腸腺腫の内視鏡的治療についてお話しいたします.
早期大腸がんとは
大腸がんは,大腸の内腔側にある粘膜の表面から発生しますが,進行するにつれて粘膜の下の層(粘膜下層)から,その外側をとりまく腸固有の筋肉の層(固有筋層),さらにその外側の漿膜へと浸潤していきます.粘膜の表面や粘膜下層にがんがとどまっているものを早期がんと呼びます.この早期がんの定義は胃がんの場合と同じです.つまり,早期がんか否かはがんの深さで決まるのであって,大きさではありません.大きいものの方が,もちろん深くなりやすいのですが,浅いものもあり,大きいからといって悲観する必要はありません.これに対して,筋肉の層より深く浸潤したがんを進行がんと呼びます.
早期がんの中でも,粘膜の表面にだけ存在するがん(粘膜内がん)と粘膜下層に浸潤したがん(粘膜下層浸潤がん)の中でも少ししか入っていないがんは,全くといっていいほどリンパ節転移を起こさないので,内視鏡的にがんを切除すること,つまり内視鏡的治療で完治が可能です.